「学問のすゝめ」とは?
近代日本最大の啓蒙思想家とも言われる福沢諭吉の大ベストセラーです。
国家と個人の関係を見つめ、世のために働くことで自分自身も充実するという生き方を示してくれています。
言わずとしれた名著であり、日本だけでなく世界でも大いに評価されている傑作と言えます。
私は以下の本を参考に読み進めました。日本屈指の教養人として呼び名の高い斎藤孝が現代の人にも伝わりやすい表現で訳してくれています。非常に読みやすいです。
学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書) | 福澤 諭吉, 斎藤 孝 |本 | 通販 | Amazon
正しい実行力をつける
・実行のためには独立が必要
第16編では、正しい実行力について書かれています。
まず、前提として実行とは独立することを目標に行うものだとあります。
独立には二種類あり、
独立には二種類ある。一つは、形あるもの。もう一つは、形のないものである。
これはどういうことかといいますと、形あるものは物質的な独立を指しています。
住む家や日々の食事といった品物について、他人の世話や厄介になることなく自分と自分の家の始末をすることです。
世間一般に言われる自立/独立はたいてい、この形あるものの独立を指すことが多いのではないでしょうか?
しかし、真に重要なのは形のないものの独立です。
形のないものとはつまり、精神的な独立を指します。
社会や世界を前進させるために、己ができることに明確な芯をもつこととも「学問のすゝめ」では解釈を広げることができます。
・物に支配されるべからず
ここでの面白い指摘は、「形のないものの独立」ができていなければ、「形のあるものの独立」すら侵害されかねないということです。
ひとつのことわざから理解を深めていきます。
一杯、人、酒を呑み、三杯、酒、人を呑む
このことわざの指すところは、酒を好む欲望の方が人間の本心を支配し、その独立を邪魔するということです。
付き合いや娯楽として、お酒を飲む方にはギクリと刺さる言葉ですね。
お酒は人生を豊かにする一つの嗜みとしても、人とのコミュニケーションのツールとしても用いることができます。
しかし、それを正しく扱う中身がなければ、それは品物に人が支配されていると捉えられるんですね。
お酒だけでなく、高級品などを買い漁って贅沢三昧することもここに当てはまりますね!
・どうすればいいの?
ここで、福澤諭吉の言わんとすることは、独立とは単にお金を一定の水準以上儲けることでは決してないということです。
いくらお金を儲けても、それを嗜好品にばかり使って今後の自分の中身を育てる糧としていかなければ、形のない独立(精神的独立)が追いついておらずよろしくないと申されています。
ましてやお金があるからと言って贅沢三昧し、その挙げ句に事業が失敗したら、ガラクタと厄介な贅沢グセだけ残り始末に負えないのです。
では、そうならないためにはどうすれば良いのか?それは、、、
心と働きのバランスをとること。つまり、「議論と実行とを両立させていくこと」
これはつまり、人から言葉を借りてばかりで行動しないことや、目的を明確にせずに行動してばかりで結果を出すことへの配慮が欠けていることにならないようになりなさい、ということです。
贅沢をしたいがためにお金をとにかく稼ぐのも結構だが、本当にそうなのかを常に問いかけてお金や品物に支配されないように心がける必要があるんですね。
P.S..
ここでの解釈は私なりの解釈である、ということにご注意ください。
昨今よくある一つのテーマに沿って書かれた自己啓発本と違い、読む人の考え方や背景、はては時代によって理解にも広がりができる本であります。
「その解釈は間違っている!」、「私はこのように解釈したよ」ということあれば、どしどしコメントいただければと思います。