一般教養の補強 〜銀行業界って何で苦境?〜
一般教養を補おう!
社会人になると突然、ニュースが分かるようになったり、世の中の仕組みがわかるようになるわけではありません。
やはり、どこかで自分なりに補っていくしかないのです。
日々のニュースと関係の深い話をこのシリーズ
”一般教養の補強”
では取り上げていきたいと思います。
私が学んでいくのに合わせて、皆さんにもまた一つ世の中を知っていただければ幸いです。
まず”銀行”に関しての基礎知識
日常的に目にしているし、利用していますよね。
地銀(地方銀行)から、都銀の赤い所や青い所。
日常的に用いているだけでは、中々本来の銀行の構造には気づけないのではないでしょうか?
まず、メガバンクに関して学んでいきましょう。
メガバンクとは?
メガバンクを指すのは大きく3つの銀行、またはグループを指します。
- 三菱UFJフィナンシャルグループ
- みずほフィナンシャルグループ
- 三井住友フィナンシャルグループ
の3つですね。
基礎知識
メガバンクは都市銀行や長期信用銀行の再編で生まれた銀行。傘下に信託銀行や証券会社、資産運用会社を抱え、総合金融グループを形成している。
私達が日常的に口座に振り込みや引き出しをしている部分は、銀行のもつ要素のほんの一部にすぎません。
世にいう金融系で銀行に加えて証券などを指しているのも、こういったメガバンクがグループ内に銀行と証券を両立させていることが挙げられます。
”僕は金融系に携わっているのさ!”
と聞くだけでは、銀行で資産運用で個人に営業して回っているのか、証券会社で企業再編をしているのかも特定はできません。
金融系の定義に関しても触れておきましょう。
金融とは、
「資金に余裕がある人が、資金を必要としている人に資金を融通すること」
資金を融通するため、「金融」とされている
つまり、お金がある人が、お金を必要とする人に貸すことで、新しい経済の動きを促して利益を生むのです。
その仲介を担うのが、金融における銀行の主なビジネスモデルです。
私達が預金として預けたお金から、銀行が必要とする人に貸し付けて利益を出し、利子として分配しているのです。
銀行業界なぜ苦境?
ニュースでは、”銀行解体が進む”とか、”就職先で銀行は今や安泰ではない”と耳にしますね。
これで、「ただニュースで言っていたから」と、その業界に対してマウントを取るようでは安直過ぎます。
そして、もちろん全ての銀行が危なくて、今後解体されるということを言っているわけではありません。
どういった側面から、どの銀行に対して影響があるニュースなのか把握していきましょう。
大きな要因
- 少子高齢化
- 地方経済の衰退
- 新型コロナウイルスの感染拡大
主に3つの要因が銀行の体力を奪っています。
上2つの少子高齢化、地方経済の衰退は最近に始まったことではありません。
こういった要因は構造問題と言われます。
少子高齢化は人口の偏りが問題なわけですから、経済においては30代〜40代の最も消費が多い層が少なくなることで影響を及ぼします。
分母が多い年代(断崖ジュニア)が消費の少ない層に映ると影響が大きく、昨今で叫ばれているのですね。
次に地方経済の衰退です。日本は特に都心部に人が集まり、ほとんどの消費を賄っています。
地方の経済が衰退すれば、地方銀行はより厳しい状況に置かれることになります。
そして、トドメの新型コロナウイルスの感染拡大です。
コロナウイルスによって、経済は戦後最悪の状態となりました。
オリンピック前のコロナは痛かった?
銀行のビジネスモデルは、
お金のある人が、お金を必要とする人に貸すことで利益を生む
というわけですから、みんなお金を必要としている状況では、当然破綻してしまいます。
また、お金を貸す際には、貸出金利というものが重要になります。
融資(企業または個人にお金を貸すこと)の際に、”これくらいの額を返済までは、継続して元金とは別にもらいますね。”という設定をしています。
この金利は、返してもらえる見込みがあるときは低くなり、見込みが無いとき・低いときは高くなります。
当然ですよね。返してもらえなさそうなら、高い金額で設定して少しでも返ってこなかったときのリスクを下げるのです。
これが、新型コロナウイルスの影響ではより悪く出ています。
不景気でも考えようによっては、
”不景気で借りたい人が多いなら、今ある資金をうまくやりくりすればいけそう、、、”
とも予測できるでしょう。
しかし、コロナ前にはオリンピックを控えており、日本企業の成長も見込めていました。
そのため、金利を低く設定してお金を貸していたんですね。
よって、これまで貸していた企業などが、返済できないことが起きれば大ダメージとなります。
倒産した企業も多くいたわけですから、それに融資していた銀行も巻き添えを食らうわけです。
デジタル化の遅れも苦境の原因に
外部環境のせいばかりではありません。
積極的な経営改革を進めてこなかった銀行にも原因があります。
とりわけ、デジタル化への対応は遅れています。
対面業務にとことんこだわってきた銀行では、コロナ禍で弱点がより浮き彫りとなりました。
貸し付けの他にも、送金ビジネスも主力といえる銀行の業務です。
送金において、かかるコストとスピードは非常に重要なファクターです。
その中では、コストも安く決済スピードも速いフィンテック企業が台頭しています。
危機感を募らせる銀行は、いま急いでデジタル化(金融DX)を推し進めています。
そのため、自前主義を捨てて、IT企業との提携にも積極的になっています。
例えば、みずほフィナンシャルグループとソフトバンクはスマートフォンを活用した金融事業で包括提携することを決めました。
三菱UFJフィナンシャルグループは銀行やネット証券の分野でKDDIと連携、三井住友フィナンシャルグループはネット証券最大手を抱えるSBIホールディングスと包括提携しました。
メガバンクの意向は当然、他の都銀や地方銀行に影響していきます。
銀行にとって、デジタルを活用した新しいビジネスの開発はもちろん、コスト構造を大きく見直すことが苦境を脱する鍵となっています。
最後に、、、
ざっと今の銀行、または金融業界が置かれている状況を紹介してみました。
ここまで、読んだ方であればわかるように、銀行だけ異常に被害を被っているということはないのです。
とりまく問題は銀行にとどまった影響ではありません。
新型コロナウイルスであれば、観光業界はもっと深刻な被害をこうむっています。
しかし、”銀行に入れば、人生安泰”ということは、昨今薄まってきているのは事実です。
どの企業・業界にいれば今後は絶対安泰であるかは全く読めません。
それでも、自分で情報を集めて、知ろうとする姿勢が大切なのです。
決して考えることを放棄してはいけません。
これからも、私と一緒に一般教養も合わせて学びながら、自分にとっての理想実現の確率を少しでも引き上げていきましょう。
ではまた次の投稿でお会いしましょう!